研究概要 |
本年度は液相エピタキシャル法を調整が簡便でかつ相界面が薄いポリマーブレンド系で用い,モザイク荷電膜における高次構造の観察,および溶質透過挙動を測定した。はじめに液相エピタキシャル成長の鋳型となるグラフト共重合体ポリ(4-ビニルピリジン(4VP)-g-ビニルアルコール(VA))をマクロモノマー法により合成した。さらにポリマーブレンドには正荷電部としてP4VP,負荷電部としてポリアクリル酸を用いた。ここで負荷電ポリマーはクロロメチルスチレンとの共重合体とし,この部分に感光性のジチオカルバメート基を導入した。モザイク荷電膜の調製にあたり,機械的強度をうるため,一部表面ヒドロキシル化したポリ塩化ビニル多孔質膜を支持膜とした。この上にグラフト体をミクロ相分離させ,このパターン上にポリマーブレンド溶液を液相エピタキシャル成長させ垂直配向させた。負荷電部を光架橋,P4VP部の4級化架橋および正荷電導入し,弱酸-強塩基型のモザイク荷電膜をえた。膜の構造解析よりドメイン径が数100nmに高次構造制御されていることを明かにした。L-フェニルアラニンの透過測定の結果,pHによる透過挙動は等電点付近で非電解質としてふるまい透過が抑制され,pH10付近では透過が促進されるという選択分離膜の機能を見出した。
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