研究概要 |
1.1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールからのポリエステルの合成と生分解性の評価 3種類の1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールと4種類の脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとの重縮合により、数平均分子量(SEC、ポリスチレン基準)3.5万までのポリエステルを合成した。これらのポリエステルについて、中性リン酸緩衝溶液中での加水分解、活性汚泥中での分解および土壌中での分解を調べた。結晶性のポリエステルは殆ど分解しないか、著しく分解が遅かった。非晶性のポリエステルは比較的容易に分解し、特にジアンヒドログルシトールと二塩化セバコイルからのポリエステルは顕著な生分解性を示した。電子顕微鏡観察により、土壌中に埋没しておいたポリエステルでは糸状菌とバクテリアのいずれによっても生分解されることが分かった。2種類のジオール成分を含むコポリエステルについての実験結果とも併せて、生分解性を制御したポリエステルの分子設計・材料設計に向けての貴重な指針を得た。 2.糖酸ラクトンからのポリウレタンの合成と分解性の評価 メチルD-グルコフラノシドウロノ-6,3-ラクトン(MGL)など3種の糖酸ラクトンとリシンから誘導したジイソシアナ-トとの重付加反応により対応するポリウレタンを合成した。これらのポリエステルの加水分解は、弱酸性領域では遅いが、中性または弱塩基性条件では速やかに進行することが分かった。ジオール成分としてポリエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコールをMGLと併用し、それぞれヒドロゲルを調製した。ヒドロゲルからのカルボキシフルオレセインなど薬剤の放出挙動を詳細に調べた。これらの研究成果から、糖酸ラクトンとリシンを基盤とする生分解性ポリウレタンの開発への指針を得た。
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