研究概要 |
本研究て申請した除振台、エアフィルターを購入、設置することにより精密な光学測定を行う体制を整えた。 測定装置としてm‐line法による屈折率測定系を、設計、作成した。さらに、測定系の制御、実験データの解析を本研究で申請したコンピューターを用いて行うことにより、屈折率を効率良く高精度に測定することが可能となった。測定光源として本研究において申請したチューナブルヘリウムネオンレーザを用い、屈折率の波長分散の測定が可能となった。 m‐line法による屈折率測定は、レーザの波長により測定波長が限られている。それを補うために、現有施設である紫外可視分光光度計を用い、クラマ-ス・クローニッヒの式による解析システムを作成した。これにより、レーザの波長以外での屈折率の推定が可能になった。 上の両者の測定、解析法を相補的に用いることにより、連続的な屈折率の波長スペクトルを測定出来るようになった。 光スイッチング素子は光により誘起された光学物性の変化を光により取り出す事で動作するが、光学物性の変化を取り出す光の波長において、光異性化反応によって得られる屈折率変化の大きさと光異性化色素の吸収による損失との間にはトレードオフの関係がある。これを考慮し、光異性化を用いた光-光制御素子の最小動作スイッチングエネルギーを求めた。計算には、前述の測定器により測定された、PMMA中にドープされたAC540((E)‐α‐2,5‐dimethyl‐3‐furylethylidene(isopropylidene)succinic anhydride)、MY(p‐N,N‐dinethylaninoazobenzene)の光異性反応による屈折率変化、その波長分散の値を用いた。その結果、スイッチング動作を行うためにはMYを5×10^<-14>mol、異性化させることが、またAC540を1.1×10^<-13>mol異性化させることが必要であることがわかった。また、それぞれの最小光スイッチングエネルギーは、ジメチルアミノアゾベンゼンを用いた場合、100nJ程度、AC540を用いた場合、200nJ程度であることがわかった。
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