船舶流体力学においては、コンピューターを用いた大規模数値計算による流場のシミュレーションが盛んになり、それに期待する所も大きい。しかし、流体力学的特異点近傍の様子を知る上で、また、流場の全体的挙動、支配パラメターの依存性などを知る上では、やはり解析的手法が威力を持っている。 しかし、解析的手法には、難解、単純ミスの繰り返しによる嫌気を誘うなど、マイナスイメージが強い。特に大学教育段階で学生がこのようなイメージを固定した場合、個人的能力が十分引き出されないまま、研究者、技術者として育って行くことになり、社会的損失も大きい。本研究は、このような状況を打開するため、船舶流体力学専用のパーソナル数式処理システムを開発し、コンピュータ支援による解析的手法の発展、それに取り組む研究者の増加を目指したものである。 本年度は特に入出力の簡易化を目指し、以下に付加した機能を列記する。 1.Window Managerを利用した簡易入出力システム。 このうちグラフィックス・ウィンドウ、muSIMP言語ファイル用エディタを完成させ、グラフとテキストの混在するウィンドウ・システムの試用を始めた。また、マウス・ドライバも作成し、マウスによる描画の準備とした。 2.ページ・プリンタ用グラフ清書出力。 ディスプレーのグラフ描画と同時にプリンタ描画を可能とした。 3.関数の等高線描画機能。 流線関数を与えることで、流線描画が可能となった。 4.漸近展開機能。 5.常微分方程式の解法ルーチンへの、リーマン、福原の超幾何関数のインストール。
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