船舶の衝突防止に関する合理的な判断基準を作成し、これを船陸の航行支援装置に組み込み、判断基準の合理性および衝突防止システムとしての有効性を検証することを目的としている。 本年度は研究計画の初年度にあたるので、研究用のシステム開発を中心にして、次の項目について研究を実施した。 (1)航行状況の再現 平成6年度に購入したワークステーション上に航行状況を模擬できるシステムを構築した。 (2)操船者による輻輳する航行状況の評価 構築したシステム上で来島海峡を例として、地形、潮流などを設定し、大型船、中型船、小型船の3種の船舶の航行状況を再現した。 再現された航行状況をもとに航行状況の判断を操船経験のある被験者が評価を行い、主観的な評価を時系列で収拾する実験を試みた。 (3)操船者の知識ベースの作成 実験結果を基礎にして、これまでの研究成果と海上における船長経験を生かして輻輳海域を航行するための操船者の知識ベースを作成を試みたが地形の認識と他船の避航とが競合する複雑な出会い状況下では優先するべき判断項目など検討するべき課題が多い。
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