研究概要 |
今年度は,長さ2mの模型船を用いて,向波規則波中での波浪応答実験を曳航水槽にて行った.模型の船体形状としては一体型と分割型の2種類を検討した.一体型模型では,船体とキャビンを剛体で結合したものとばねで結合したものとの2ケースにおける船体の縦運動及びキャビンの垂直加速度を計測した.分割模型の場合では,主船体片舷のみ4分割,キャビンを2分割し,各分割構造をストレインゲージを貼付したアルミ板で結合して,波浪曲げモーメントを計測した.また,船体の縦揺,上下揺をポテンショメータで計測し,船体及びキャビンの船の長さ方向に加速度計を配置して垂直方向の加速度を計測した. 水中翼はキャビンの前後に取り付け,水平翼と後退翼によるキャビン縦運動の軽減効果について実験的に調べた. 以上の模型実験に対して数値シミュレーションを実施し,実験値と計算値の比較により良好な対応が得られた.これらの実験と数値シミュレーション結果から,ばねを付けることによりキャビンの縦運動が減少できることが分かった.また,フル-ド数が増加するに従い,水中翼によるキャビンの縦運動を減少させる効果が大きくなることが分かった.フル-ド数が小さいうちはやや水平翼の方が後退翼よりも縦運動の減少効果は大きくなる. 船体の波浪曲げモーメントには出会い波周期の曲げモーメントと船体低次の固有周期の振動曲げモーメントが重畳して生じる場合があること,またキャビンの振動応答にもばねの低次固有周期の振動と出会い波周期の振動が重畳する場合があることが実験的にも計測され,計算値でもこれを確認できた.
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