研究概要 |
船体をカタマランとし,船体構造と独立構造としたキャビンの前後に水中翼を取り付けて,キャビンと船体とを柔らかいばねとゴムの複合構造支柱4本で結合した高速艇の波浪応答特性について実験的ならびに理論的研究を行った. この研究により,高速走行中はキャビンの前後の水中翼の揚力でキャビンの重量を支え,主船体の波浪による縦運動変位をキャビンに伝達しないために柔らかいばねでキャビンを支持することによりキャビンの縦運動を小さくすることができることが分かった. 本高速艇は船尾に高速回転の主機を搭載しており,その起振力による振動をキャビンに直接伝達しないで,柔らかい複合ばね支柱で高い振動数の起振力をカットする効果について研究した.実験は(財)シップアンドオーシャンの補助事業で建造された概念設計船の1/2縮尺の実験艇(船の長さ7m)を仕様して,実海域実験を行った.これに搭載設置する複合支柱(つる巻ばね1.5tonf/mにゴムを巻き付け,減衰効果を大きくするとともに,つる巻きばねの横方向の変形をゴムにより防止する)を試作して,実海域実験を行った.この結果,主機の回転数と同じ振動数の振動が主船体に激しく生じているが,キャビンには全く生じていないことが分かった.これは数値シミュレーションによっても確認することができた. したがって,今後この方式の高速艇の設計のための複合支柱の剛性の最適値の設定,水中翼の設計などに有用な資料が得られた.また,このような高速艇のコンセプトの妥当性を明らかにすることができた.
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