研究課題/領域番号 |
06555302
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
豊貞 雅宏 九州大学, 工学部, 教授 (30188817)
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研究分担者 |
石川 邦照 日本鋼管(株), エンジニアリング研究所, 構造研究室室長
丹羽 敏男 九州大学, 工学部, 助手 (10208267)
山口 喜久次 九州大学, 工学部, 助手 (70037943)
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キーワード | き裂開閉口 / 遅延減速現象 / 疲労き裂の停留条件 / シミュレーションモデル / 表面き裂のK値 / バネモデル |
研究概要 |
Dugdaleモデルを発展させ、負荷・除荷過程でのき裂開閉口をシミュレーションするプログラムを既に作成していたが、最大荷重を低下させると、減速遅延現象が実験値よりも大きく現れることが判明し、除荷過程でき裂が新しく成長する部分では、き裂が生じることに対応してDugdaleモデルに与える内圧が一部解放されることを考慮できる新しいモデルを構築した。 そしてこのモデルにより、最大荷重を低下させた場合のシミュレーションを行うと同時に、実験も実施した。そして減速遅延現象が本モデルで定量的に表せ得ることを明らかにした。さらに最大荷重を大きく低下させると疲労き裂が停留することが実験およびシミュレーションで確認でき、RPG荷重が最大荷重より大きくなるとき裂が停留することが明らかとなり、疲労き裂の停留条件として一般に考えられているΔK_<th>や(ΔK_<eff>)_<th>なる量を考えなくても疲労き裂の停留を議論できることが判明した。 また、切欠先端に引張、あるいは圧縮の残留応力を付与するために、ガス加熱をした試験片を用意し、それらの試験片の残留応力を測定した。そして残留応力分布がRPG荷重に及ぼす影響を疲労き裂伝播試験で調査した。その結果、引張の残留応力はRPG荷重を低下させ、き裂伝播速度を加速させること、圧縮の残留応力はRPG荷重を上昇させ、き裂伝播速度を低下させることが実験およびシミュレーションで判明し、定量的にも実験とシミュレーションは良く一致することが判明した。 さらにΔK_<RP>は最大荷重時の塑性域寸法と最小荷重時の塑性域寸法の小さい方の長さ、すなわち疲労被害が蓄積される領域寸法を規定していることが明らかとなった。また、表面き裂問題へ拡張するため、バネをき裂面に配置して2次元化することで表面半楕円き裂のK値を求めたところ、FEMで求められている結果と良い一致を示すことが確認され、次のステップへの大きな足がかりが得られた。
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