研究分担者 |
長谷川 壽男 川崎重工業, 生産技術開発センター, 課長(研究職)
青山 和浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80222488)
安澤 幸隆 九州大学, 工学部, 助教授 (10191123)
宮田 秀明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70111474)
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研究概要 |
製造工程における製品の精度管理は,製品の品質を保証するために重要である。しかし,船舶,橋梁,鉄鋼,海洋構造物,プラントなどのような大型溶接構造物では,溶接作業による熱変形が生じてしまい,さらに,正確に構造物の大きさを計測することは容易でないといった問題がある。そこで本研究では,新しい精度管理の概念および精度管理システムを構築することを試み,以下に示す知見を得,システムを構築した。 (1)三次元計測技術を利用した精度評価システムの構築 大型構造物の形状把握に対して,レーザーを用いた三次元距離計測器による計測技術の有効性を確認した。さらに,三次元座標情報として得られる計測情報を計算機内に取り込むために計測モデルを提案し,精度管理者が認識しやすい情報に変換した。この計測モデルには製品モデルが有効に利用されており,三次元的な形状を容易に認識することができ,設計によって生成されている製品モデルをノミナルなブロックとして利用することによって,溶接による変形量を把握できる精度評価システムを構築した。 (2)溶接変形の予測を利用した精度計画システムの構築 精度管理における精度計画を立案するために,構造解析システムを利用して溶接変形を予測し,変形状態を表示し精度管理のための情報として利用することを検討した。溶接変形のモデル化では,溶接による収縮量と変形量を起こさせるための等価な荷重として圧縮荷重,曲げ荷重を仮定し,構造解析によって変形を推定する精度計画システムを構築した。 (3)精度管理システムの構築 精度評価システムと精度計画システムとを併せて利用することにより,製造途中の溶接構造物の変形状態を把握し,制御することが可能なシステムを構築した。このシステムによって,溶接構造物の総組工程の省略を検討することを可能とした。
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