本研究で開発する機体位置検出システムは、二つのサブシステムから成る。一つは姿勢センサであり、他の一つはレーザレンジャである。この中、姿勢センサの検出部の構成、およびセンサ出力から姿勢を算出するアルゴリズムについては、前年度に開発を完了し、室内実験で適用性を検証した。したがって本年度はレーザレンジャによる機体移動量の計測について集中的に研究を行なった。 本研究でのレーザレンジャはレーザ投光系とカメラ受光系から成る。レーザ投光系はレーザ光を任意の方向に射出する機能を持つように、レーザ・スキャナ、スキャナ・ドライバ、ドライバ・アンプ、および入力部で構成した。これによって機体が移動する前後、または移動中に、機体の外に設けられた標識にレーザ・スポットを照準することができる。またカメラ受光系は標識に照準されたレーザ・スポットを位置標定する機能を持つように、CCDカメラ、カメラ・アダプタ、画像処理ボード、およびパーソナル・コンピュータ、カメラ・モニタで構成した。これによってカメラで撮像した標識近傍の画像からレーザ・スポットの3次元空間座標を決定することができる。 本研究ではこれらの機器から成るレーザ投光系とカメラ受光系の外部パラメータと内部パラメータをキャリブレーションによって決定し、距離計測への適用性を検証するために室内実験を行なった。その結果レーザ・スポットで照準された標識の位置はレーザレンジャからの距離の1%未満の精度で計測できることがわかった。したがって、本研究で開発したレーザレンジャは機体の移動に伴う自己位置の検出に有効と判断される。
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