研究概要 |
抽出剤PC-88Aを多孔性樹脂Amberlite XAD-7に含浸させた含浸樹脂を調製して、含浸樹脂による希土類の分離についてカラム法を用いて検討した。さらに、破過点で通液を止めるセンサーおよび電磁弁システムの開発を行った。 カラム分離試験の破過点を検出するセンサーとして電気伝導度、pH、可視光線吸光度を検討して、希土類塩化物溶液が着色していることから適切な波長の可視光線吸光度の測定によりセンサーとすることが可能であることを明らかにした。センサーシステム(プロセス比色計)の設計を行い、システムを発注して完成させた。La,Ce,Pr,Nd,Smなどの軽希土および中希土類について、カラム形状(直径1cm〜5cm,長さ1m〜2m)を変えて吸着および溶離試験を行って、分離の最適条件を明らかにした。カラム直径は分離度には関与せず、多量処理にカラム直径の拡大を適用できること、分離度にはカラム長が顕著に係わることがわかった。原子番号の小さい希土類を吸着工程で回収して、原子番号の大きい希土類を溶離工程で回収することが可能であった。さらに、重希土類であるY,Ho,Dyのカラム吸着および溶離特性をカラム形状(直径1cm〜5cm,長さ1m〜2m)を変えて試験した。重希土類の分離は吸着段階および溶離段階ともに軽希土類と比べて困難である。カラム長を長くするだけでは適切な分離が行えないという問題が生じ、希土類溶液にクエン酸や酒石酸などのマスキング剤を添加することを検討した。マスキング剤は普通pH3〜4以上で作用するが、含浸樹脂への重希土類の吸着はpH1〜2で生じるので、マスキング剤の添加は希土類の分離に効果を示さなかった。低pHで作用するマスキング剤を調査するとともにカラム操作への供給液のpHを高く設定する必要があると思われる。これらの試験と平行して、西村、待田と今西は希土類分離のための含浸樹脂カラムの装置の検討を行った。
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