研究分担者 |
今西 信之 株式会社神鋼リサーチ, 調査研究部長
待田 純一 三徳金属工業株式会社, 品質管理課, 課長代理
佐野 誠 関西大学, 工学部, 助手 (00170811)
西村 山治 関西大学, 工学部, 教授 (30067467)
SANO Makoto Kansai University, Faculty of Engineering, Professor
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研究概要 |
PC-88Aを多孔性樹脂に含浸させた含浸樹脂を用いて、希土類の分離特性をバッチ操作およびカラム操作で検討した。さらに、応用研究として7成分を含む重希土残渣からDy,Y,Tm,Ybを分離するプロセスの開発を行った。得られた結果は次のように要約される。 1)含浸樹脂の細孔径分布や比表面積を測定して、抽出剤が多孔性樹脂の細孔内に物理的に吸着されていることを明らかにした。2)含浸樹脂の劣化試験を行い、20回程度は繰り返し使用することが可能であるという結果を得た。3)含浸樹脂による希土類の吸着は、水溶液中の金属イオンとPC-88Aの水素イオンとの陽イオン交換反応で行われる。吸着速度は、従来の陽イオン交換樹脂による吸着速度と同程度である。溶離は塩酸などの無機酸を用いて容易に行うことができる。4)カラム形状(直径1cm〜5cm,長さ1m〜3m)を変えて吸着および溶離試験を行って、分離の最適条件を明らかにした。カラム直径は分離度には関与せず、多量処理にカラム直径の拡大を適用できること、分離度にはカラム長が顕著に係わることがわかった。5)含浸樹脂をカラム法として用いて分離試験を行ったところ、Nd/Sm系やTb/Ho系のような分離係数の大きい2成分系では、原子番号の小さい希土類を吸着工程で回収し、原子番号の大きい希土類を溶離工程で回収することが可能であった。6)破過点を検出するセンサーの開発を行い、適切な波長の可視および紫外線吸光度の測定によりセンサーとすることが可能であることを明らかにした。センサーシステム(プロセス比色計)の設計を行い、システムを完成させた。7)重希土残渣の浸出液からDy,Y,Tm,Ybを分離するプロセスの開発を行い、吸着工程での分離は困難であるが、溶離工程で展開カラムを設けて溶離剤である塩酸濃度をpH2〜pH0に徐々に変化させることによりDy,Y,Tm,Ybの分離を達成した。
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