果実の肥大生長速度を調節することにより果実組織の糖濃度が制御できるのではないかと考え、生長速度を果実周囲の圧力を変える装置を開発研究している。本年度は圧力制御用の容器の設計、圧力制御、果実を容器に入れた場合の気密性の問題などを検討した。 1.容器は、テスト用の容器と実際に圃場で用いる容器の2種を作製した。 テスト用容器は金属でつくり、特に安全度を見込んだ設計を行った。また、圃場用には、硬質樹脂の容器を金属フレームで補強した。 2.容器内の圧力は5気圧を最大とし、コンプレッサーからの高圧の空気を使用した。 3.樹についたままの果実に容器を装着する場合、果柄部の周辺からの空気の漏れが問題となった。対策として隙間にはゲル状の充填剤を数種試験して、ほぼ満足できるものが見つかった。 4.果実周囲の圧力を高めた場合に果汁が果柄部を通って逆流することが示された。これは、細胞間隙の果汁が進入した空気に押し出されたものと、推測した。ただし、急速な加圧の場合には、果実外層が不透過層となり、内部を押し付け、果汁が押し出される可能性があるので、さらに、検討を続ける予定である。 5.加圧された空気が果実組織に侵入することを果実を軟質プラスチックで覆う方法を検討した。熱収縮フィルムの利用も今後の検討課題である。
|