研究概要 |
1.ニホンナシとリンゴの属間雑種の生育特性とアイソザイム分析による遺伝解析(伴野.建石) これまでに育成された110系統余りの属間雑種について、新梢や葉の形態的特性,アントシアニンの発現性,ナシやリンゴの台木に対する接ぎ木親和性,光合成特性等を調査した。これらの結果から、属間雑種個体の表現形質は母本に類似している反面,アントシアニンの発現性や父本の台木に対する接ぎ木親和性の向上等、父本の遺伝子もかなり導入されていることが明らかになった。また,これらの属間雑種の光合成活性は、自根樹では低いものの,接ぎ木によって母本と同程度に回復することも明らかになった。 一方,これらの属間雑種の表現形質が両親の中間を示さず、むしろ母本に類似する原因について明らかにするために、パーオキシダーゼ及びエステラーゼのアイソザイムの発現について解析した。その結果,属間雑種における両酵素の遺伝子発現は、表現形質と同じように,母本の遺伝子が強く現われるが、ニホンナシを母本とする系統において、表現形質に父本のリンゴの遺伝子が強く発現しているものでは、リンゴの特徴的なバンドが強く発現する傾向が認められた。 属間雑種におけるナシ黒斑病,リンゴ斑点落葉病,リンゴ黒星病の検定と遺伝解析(田平) これらの属間雑種について、上記の病害に対する検定を宿主特異的毒素及び胞子接種にて行なった。その結果,ナシ黒斑病,リンゴ斑点落葉病について、ナシを母本とした雑種では、両病に対する遺伝分離が様々に現われるが、リンゴを母本としたものでは、両病に対してほとんどすべて抵抗性を示した。また,リンゴ黒星病については、ナシを母本とするものでは、すべて抵抗性を示し、リンゴを母本とするものでも28系統のうち、7系統が抵抗性と判定された。
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