研究概要 |
1.属間雑種の生育特性と果実品質の比較調査並びに遺伝解析(伴野・建石分担) これまでに育成された100系統余りの属間雑種について,昨年度に引き続き,生育特性及び接ぎ木親和性を調査した。2年間にわたる接ぎ木親和性の調査から、一般に、属間雑種を接ぎ木繁殖する場合,その母本の属と同じ台木で親和性が高いことが判明した。 一方,これらの雑種は,昨年,早いもので育成6年目を迎え,そのうち,ニホンナシを母本とした11系統及びリンゴを母本とした1系統の合計12系統が初めて開花・結実した。花芳が多く着生した系統については,蕾期にニホンナシ及びリンゴの栽培品種の花粉を受粉して,交配親和性を検討するとともに,結実した果実については収穫期に果実品質を調査した。その結果,これらの属間雑種は,大半のナシやリンゴの品種と不親和性を示すものが多く,同じS遺伝子型の‘新水'と‘幸水'でも親和性に差異がみられるなど,複雑な交配親和性を示した。また,ナシを母本とした雑種の果実は,一般にナシに類似していたが,糖度も13〜14度と高い系統が多く,リンゴのように果皮にほとんどさびがみられず,果皮が滑らかで,香りが強い系統もみられた。 さらに,属間雑種におけるアイソザイムの遺伝子型を明らかにする目的で,ニホンナシ品種及び交雑系統について,各酵素のアイソザイム分析を行ない,各酵素の遺伝子型を決定することができた。 2.属間雑種におけるリンゴ及びナシ黒星病の検定と遺伝解析(田平分担) これらの属間雑種について,上記の病害に対する検定を胞子接種法で行なった。その結果,リンゴ黒星病については,リンゴを母本とする雑種のうち,1系統が抵抗性と判定された。
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