研究概要 |
1.属間雑種の生育特性と果実品質の比較調査(伴野・建石分担) これまでに育成された100系統余りの属間雑種について,昨年度に引き続き,生育特性及び接ぎ木親和性を調査した。2年間にわたる接ぎ木親和性の調査から,一般に,属間雑種を接ぎ木繁殖する場合,その母本と同属の台木で親和性が高いが,父本と同属の台木でも良好な生育を示す系統も認められた。 一方、これらの雑種は育成7年目を迎え,そのうちニホンナシを母本とした23系統及びリンゴを母本とした7系統が開花・結実した。花芽が多く着生した系統については,蕾期にニホンナシ及びリンゴの栽培品種の花粉を受粉して,交配親和性を検討するとともに,結実した果実については,収穫時に果実品質を調査した。その結果,これらの雑種は,多くのナシやリンゴの品種の花粉と不親和性を示すものが多く,また,同じS遺伝子型の品種間でも親和性に差異がみられるなど,複雑な交配親和性を示した。結実した雑種果実の形態は,一般に母本に類似していたが,これらの中には大玉で糖度の高い有望系統もみられ,糖及び有機酸の組成も,ニホンナシとリンゴの中間的な組成を示す系統も認められた。 2.属間雑種におけるリンゴ及びナシ黒星病の検定(田平分担) これらの属間雑種について,上記の病害に対する検定を昨年度に引き続き,胞子接種法で行なった。その結果,リンゴ黒星病については,リンゴを母本とする雑種のうち1系統が,ナシ黒星病については,ナシを母本とする雑種のうち3系統が,抵抗性と判定された。
|