研究課題
試験研究(B)
肥効調節型肥料を用いた環境負荷軽減・低コスト不耕起栽培法を検討した。1)水稲の苗箱全量施与不耕起移植栽培を秋田県大潟村、宮城県鳴子町および古川市の農家圃場で行なった。その結果、従来の速効性肥料による耕起栽培の基肥窒素利用率が30%前後であるのに対し、本法の肥効調節型肥料では80%前後と高い基肥窒素利用率を示し、肥料による環境負荷を著しく軽減できた。収量的にみても本法は、従来法に比べて、同等あるいはそれ以上が得られ、耕起を省略するのみで省力、低コスト化も可能であることが明らかとなった。また、従来の稲藁鋤込み施用耕起栽培では、還元が進行するため乾田に限られるが、本法は乾田のみならず湿田にも適用できることが明らかになった。更に本法は、稲藁分解が地表面の酸化条件下で行なわれるため、水田からのメタン生成を著しく抑制することが可能であった。2)水稲やデントコーンの肥効調節型肥料による接触施肥法を検討し、従来の速効性肥料の施肥法に比べて、本法は著しい施肥窒素利用率の向上と肥料焼けや濃度障害の軽減が可能であることが明らかにされた。3)ダイズとデントコーンの肥効調節型肥料を用いた不耕起栽培を検討し、本法の施肥幅の減少は、デントコーンの初期生育を促進し収量的にもプラスに働くのに対し、ダイズでは蔓化が起こり、減収につながる恐れが指摘された。またデントコーンでは後期窒素栄養の改善が、ダイズでは根粒菌の肥大化が観察された。4)水稲の苗箱全量施与栽培における本田初期生育の促進を図るために、溶出期間が10日と短い肥効調節型肥料の開発を行なった。また、乳苗の苗箱全量施与栽培用にラグタイムの短い時限式肥効調節型肥料を開発した。
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