(1)我々のサブサイトの改変により基質特異性が上昇し、耐熱性が低下した二重変異体Trp190Phe/Tyr75Asn蛋白の作製に成功し、より実用に適した人工酵素を取得した。また、サブサイトの改変により酵素反応の至適pHや基質認識を変化させることに成功した。特に、Thr218Ser変異体は至適pHが野生型の3.9から0.5低下、Asn219Ser変異体は基質特異性がペプシン型に変化した。 (2)ムコールペプシンのフラップ領域に存在する75番チロシンヲアスパラギンに改変した酵素を作製したところ、凝乳活性が2.5倍上昇すると共に基質特異性も1.7倍上昇する優れた凝乳酵素の性質を示した。この変異体の反応機構は75番アスパラギンが反応遷移状態の安定化に寄与する新たな反応機構によるものと考えられる。 (3)前年度、ムコールペプシンを生産するRhizomucor Pusillusでの宿主・ベクター系を開発し、μg当たり30個の形質転換体を得る事に成功してきた。この宿主・ベクター系にムコールペプシンあるいは72番と171番の2ケ所の糖鎖付加部位を欠失させたムコールペプシンの遺伝子を導入し、形質転換したところ、ムコールペプシンの生産量が増加した形質転換体を得ることに成功した。現在、その性質について調べている。
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