研究課題/領域番号 |
06556015
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
山形 秀夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20023468)
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研究分担者 |
岩佐 進 武田薬品工業(株), DDS研究所, 主席研究員
垣沼 淳司 名古屋大学, 農学部, 教授 (50252276)
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キーワード | Bacillus brevis / 蛋白質分泌生産系 / Fab′断片 / 血栓溶解 / ウロキナーゼ |
研究概要 |
B. brevisを宿主として生産が試みられた抗体断片 単鎖Fv、Fab′、単鎖Fab′のすべてについて培地中への分泌が認められた。Fab′の生産量は培養液1リットル当り最大100mgに達した。培養液より精製されたFab′は親抗体とほぼ等しいヒトウロキナーゼ結合能を有していた。細菌を宿主とした生産量として100mg/1という値は、これまでに報告された他の多くの抗体生産の例の中で比較的高い値である。本研究結果が単純なフラスコ培養によるものであることを考慮すると、B. brevisを宿主とした抗体生産系の実用化は有望と考えられる。しかし、細菌による抗体の生産効率は用いる抗体遺伝子によって大きく変動することがわかっているので、他の系との比較を今後系統的に行ってゆく必要がある。 Fab′に比べて単鎖Fv、単鎖Fab′断片の生産量が低かった理由は不明であるが、これらの断片の構造が不安定であるため、培地中に存在する微量のプロテアーゼにより分解された可能性が高い。リンカーペプチドの長さとアミノ酸配列を至適化することにより、これらの断片の構造を安定化し、効率的な生産を達成してゆく計画である。一方、Bacillus brevisを宿主とする系については分泌ベクターに用いるシグナルペプチドの系統的改変、培養液中のプロテアーゼインヒビターの解析、プロテインジスルフィド結合形成酵素遺伝子の解析、高分泌変異株の分離等の研究が進展した。また研究分担者の垣沼、岩佐は融合ハイブリドーマ法により生産した二重特異性抗体断片に単鎖ウロキナーゼを結合させ、その血栓溶解能の解析を行い、医業としての実用化のための重要な成績を得た。またヒトにおける抗原活性を弱めるためヒト・マウスキメラ抗体を作製した。これらの成果を基礎として、残された課題を完全に達成してゆく計画である。
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