研究概要 |
(1)PUFA生産菌の改良とPUFA含有油脂の生産条件の設定(清水、秋元、片岡、小林) アラキドン酸高生産菌M.alpina 1S-4の胞子を変異処理し、本菌に存在すると考えられている全ての不飽和化酸素(Δ5,Δ6,Δ12,Δ9,ω3(Δ15))に対応する欠損変異株を既に得ている。これらの変異株の脂肪酸組成は、親株とは著しく異なり、以下のPUFA含有油脂の生産に利用できると考えている。収量増大と大量生産のための条件設定を検討し、目的とする脂肪酸の生産量を3-10g/1程度に引き上げることに成功した。 ω6系PUFA含有油脂:主に親株を用いアラキドン酸生産を効率化するファクターを検討し、培養の高密度化と培養時間の短縮をはかることで、実用的な生産量(5-10g/1/5days、アラキドン酸含有量30-60%)を達成した。特に、溶存酸素の枯渇がPUFA含量の低下をもたらすことを認め、通気攪拌方式の改良、空気-酵素混合気の通気などが効果的であった。これによって得られた成果をΔ5不飽和化酵素欠損変異株(S1)の培養に適用し、ジホモ-γ-リノレン酸高含有油脂の生産も可能となった。 ω9系PUFA含有油脂:Δ12不飽和化酵素欠損変異株(Mut48)はオレイン酸(18:1ω9)からリノール酸への変換が出来ず、オレイン酸を著量蓄積する。培養時間を長くすると、蓄積したオリイン酸はω9経路へ流れ、最終的にはミ-ド酸へ変換されることを認めた。よって、ω9PUFAのみで構成される新規な油脂の生産が可能となった。(生産量約3.5g11) (2)機能性リン脂質及び過酸化リン脂質の立体選択的合成と生成物の生化学的評価(馬場、清水、秋元) リノレン酸のエステルを出発基質としてリパーゼによるアシル化反応とリポキシゲナーゼによる過酸化反応をキ-ステップとする合成法を開発している。アラキドン酸、ミ-ド酸、ジホモ-γ-リノレン酸を中心に同様のリン脂質類の合成が可能なことを示した。
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