研究概要 |
食品加工や発酵・培養プロセスモニタリング用オンラインセンサーとして大きな可能性を有している熱線法粘度センサーに関する本年度の研究の進捗状況は以下の通りである。 1.本来静止流体系における粘度測定用に開発された熱線法粘度センサーを、流動系に対しても適用可能とするために、流動の影響を遮蔽するための保護筒付きセンサーとした。このことによって、熱線法粘度センサーを発酵槽に適用することが可能となった。保護筒は発酵槽外部より開閉可能である。またセンサーは高圧蒸気滅菌に耐えることができる。 2.上記保護筒付き熱線法粘度センサーは一本のエレメントで、広い粘度範囲(1〜2000 mPa・s)において応答を示し、その応答特性(ΔT)は、ΔT=a×logμ+bにより表されることが明らかとなった。ここにμは流体粘度、a,bは定数である。 3.熱線法粘度センサーはニュートン流体のみならず、非ニュートン流体に対しても応答を示した。この場合、センサーの応答特性と被測定試料流動特性の比較により、センサーは1s^<-1>程度の低いせん断速度において試料粘度を認識していることが明らかとなった。 4.食品伝熱物性の体系的整備とそのデータベース化、およびそれに基づく熱線法粘度センサーシステムのインテリジェント化による熱線法粘度センサーの適用範囲の拡大を試みた。 5.保護筒付き熱線法粘度センサーを発酵槽に適用して、菌体モニタリングを行うための予備実験として、酵母(Saccharomyces cerevisiae)菌体懸濁液に適用した結果、センサー応答は菌体濃度に応じた変化を示した。
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