研究課題/領域番号 |
06556026
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 嘉拓 北海道大学, 農学部, 教授 (10001463)
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研究分担者 |
高井 光男 北海道大学, 工学研究科, 教授 (50002019)
小澤 修二 北海道大学, 農学部, 助手 (50204194)
浦木 康光 北海道大学, 農学部, 助教授 (90193961)
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キーワード | 間伐、除伐材 / 木質バイオマス変換 / 常圧酢酸パルプ化 / 多価アルコールパルプ化 / リグニン炭素繊維 / 繊維状活性炭 / 木材成分の総合利用 / オルガノソルブパルプ化 |
研究概要 |
硫酸を触媒に用いた多価アルコール系常圧パルプ化により針葉樹低質材からパルプ、多価アルコールリグニン(PHAL)およびヘミセルロース糖類を含むパルプ化溶媒を調製し、各成分および溶媒を分析した。スギ、トドマツおよびカラマツの何れの低質材からのパルプも残存リグニンが少なく、漂白性が良好であった。しかし、多価アルコールとして使用したプロピレングリコール(PG)は触媒に用いた硫酸により分解し、回収率は低かった。そこで、触媒を酸度の低い酢酸に代え、同じ溶媒系で200℃の加圧パルプ化を検討した。5〜10%酢酸を含む60〜70%のPG水溶液が粕の少ない良好なトドマツの加圧パルプ化に有効であることが示唆された。PGの回収率は85%となり、大幅に改善された。パルプで回収したヘミセルロース糖類から多価アルコールを調製する研究は今後の課題であるが、水より高沸点溶媒で悪臭を発しない溶媒系は繰返しパルプ化溶媒に使用でき、高価な高圧釜を必要としないことから更に、詳細に検討する価値のあるパルプ化であると考えられる。 常圧酢酸パルプ化法を木質バイオマスの効率的総合利用の可能なパルプ化法として位置付けるには、パルプ副産物の有効利用が必要であることから、酢酸リグニンから炭素繊維および繊維状活性炭を製造する基礎的研究を行なった。酢酸リグニンはパルプ化によりアルコール性水酸基の一部がアセチル化されていることなどから、他の工業リグニンなどにない熱溶融性を示し、簡便な溶融紡糸により汎用型工業用炭素繊維に匹敵する炭素繊維に変換された。得られた炭素繊維を経済的な水蒸気賦活により繊維状活性炭に変換できた。リグニン繊維状活性炭は市販のものより低廉に製造できることから、環境資材として水や空気の浄化に大量に利用できる。ヘミセルロース糖類は大半が単糖類までパルプ化により加水分解析されていることから、種々の発酵原料の糖類として利用可能であるとの知見が得られた。
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