当該年度の目的は顕微鏡画像を用いた樹種検索システムを完成させることにある。そのために準備段階と完成段階に分けて作業を進めた。まず、準備段階としては以下の通りである。過去の樹種別解剖学的記載に関する文献の主要なものを参考にして独自の『樹種検索カード』を作成した。次に、過去の樹種別解剖学的記載に関する文献を参考にするとともに標準プレパラートを詳細に観察して樹種ごとの顕微鏡的特徴の記載をし、『標準樹種検索カード』を作成した。さらに、標準樹種検索カードとは別に樹種の三断面の顕微鏡画像をスキャナーによりコンピュータに取り込んだ。以上の準備をして次の工程に移った。 完成段階として、顕微鏡画像による樹種同定を実行できるように以下の作業をテストした。すなわち、未知の木片から顕微鏡プレパラートを作成し、顕微鏡により一つ一つの樹種の特徴を観察してその特徴を『樹種検索カード』に記入し、この未知のカードと一致する特徴のない限り一つの樹種に絞り込まれることはなく、むしろ5樹種あるいは10樹種以上の複数の樹種が選び出されることが予想される。次に、探し出された樹種な中から未知の樹種と同一のものがあるのか否かをこれらの複数樹種について、標準顕微鏡画像を呼び出して一つ一つ細部にわたり照合して選び出す。こうして、選び出された樹種につき再度同一の標準プレパラートと比較照合する。 以上のような顕微鏡画像を用いた樹種検索システムを作成した。
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