研究課題
試験研究(B)
1.平成6年7月に研究打合せ会議を、平成7年2月に研究結果の検討会議を、いずれも福岡市において研究組織全員の参加により開催した。2.木材改質のための注入用樹脂としてのメチロール化フェノールの合成条件と生成物組成の関係について、ホルムアルデヒド/フェノール モル比、アルカリ/フェノール モル比と6種の生成モノマーの組成比の関係が明らかになった。3.未反応フェノール5:モノメチロールフェノール15:ジメチロールフェノール40:トリメチロールフェノール40(モル%)のモノマー組成の樹脂を用いて、スギロータリー単板、ブナロータリー単板、スギ挽板、スギ角材への注入試験、注入材の乾燥試験、注入樹脂の加熱硬化試験を行なった。その結果、以下のことが分かった。(1)ブナロータリー単板では常圧下での1日の浸せきで、スギロータリー単板では減圧脱気後常圧下での1日の浸せきで、材と等重量の樹脂液が注入される。(2)スギの挽板および角材では、減圧脱気-常圧下浸せきによる注入は不十分で、部位や個体による注入状態の差異が大きい。減圧脱気(750mmHg)10分、加圧(10kgf/cm^2)30分の注入で、53mm×53mm×750mmの角材、30mm×80mm×1150mmの挽板の場合は木材重量の2.5倍前後の樹脂液が注入される。この注入量は市販の強化木用アルカリ性フェノール樹脂のそれに比べてはるかに大きく、CCAなどの防腐剤液のそれよりも大きい。(3)樹脂液を注入したスギ単板およびブナ単板の乾燥は容易であるが、積層材を製造するには、パンクやフクレの発生を防止するため105℃で60分程度の加熱乾燥が必要である。(4)表面加熱圧密化により、家具用材として十分な表面硬さが得られる。