研究課題
過去2年間の検討結果から、スギ材やブナ材などからエクステリア用材や家具用材を開発するための化学処理としてはフェノール樹脂注入処理が、性能およびコストの面からみても、最も可能性が高いと判断した。このフェノール樹脂注入処理をより有効にし、実用化を促進するためには特に良質の注入用樹脂の供給体制を整えることが重要であることがわかった。注入性、作業性および寸法安定化効果の点から注入用樹脂としては「未反応のフェノールおよびホルムアルデヒドを含まないメチロール化フェノール単量体混合物」が理想的であり、この理想に近い樹脂の安価で合理的な製造法を確立することが必要である。また、製品の付加価値を高めるために、処理材の美観を向上させるあるいは保持する塗装などの処理について検討する必要があることがわかった。そこで本年度は、樹脂の合理的な合成反応操作を確立する目的で、フェノールのメチロール化反応について、5種類のメチロール化フェノール単量体生成の速度定数と活性化エネルギーおよびこれらに及ぼす反応条件の影響を詳しく調べた。また、透明塗装を中心に、樹脂注入材の塗装の耐候性についてDew panel weather meterを用いて調べるとともに、製品を試作して屋外暴露等の試験を行った。さらに、廃材の処理も問題となるので、フェノール樹脂注入材の炭化処理を検討し、生成炭化物の利用として成型物(ボード)の製造、および、粉末状炭化物による気中ホルムアルデヒドの吸着除去を検討した。これらの検討結果をとりまとめて成果報告書を刊行した。