研究概要 |
生育中の植物の画像データから16〜64階調の濃度共起行列を計算するアルゴリズムの開発を行い,植物体の画像データをTVカメラで適宜撮影して画像処理ボードを経て前処理する方法で,一次データを得てビデオテープに保存する方法を採用しシステムを構築した.また,2次データは光磁気ディスクに保存することにした.同じく,画像の特徴量および環境パラメータを入力とし,物理的あるいは病理的に植物の状態を表現する生態情報を出力とするカルマンニューロ計算システムを構築した.ソフトウェア開発と平行して実験システムの設計・制作を行った.主な実験装置は現有の通常の人工光型ファイトトロン(小糸工業製)にガス環境などの環境制御部分を追加して用いた.供試作物は軟弱野菜および稲(大阪府立大学で作出した超矮性稲)を用い,水耕栽培した.画像特徴量と共に用いる入力情報である環境パラメータは,光,温度,二酸化炭素濃度および湿度とした.目的の出力生体情報は植物の水ポテンシャル(サイクロメータ法による葉の水ポテンシャル測定),光合成速度(二酸化炭素濃度測定),蒸散流速などをニューロのトレーニングデータ用に計測した.データのロギングはパソコンで行った.装置内で作物を栽培するとともにソフトウェアのチューニングを行った.ソフトウェアのチューニングをした後にトレーニングデータの収集をした. 当初に計画した研究方法および研究計画にしたがって平成7年度は研究が遂行され,装置内で作物を栽培するとともにソフトウェアのチューニング,ソフトウェアのチューニングおよびトレーニングデータの収集などいずれのプロセスにおいても予定されていた水準の結果がえられた.特に,今回得られた実験データに対してカルマンニューロがBPニューロに比較して極めて優れた学習性能を発揮したことが改めて確認できた.前々年度からの課題であった共起行列の要素間の距離および角度を多様に選択できるという自由度の有効性についての検討結果では,自由度が大きい割にはその効果が顕著に表れないという事実が本実験データについては結論づけられた.
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