研究課題
エンドセリンA受容体とB受容体のサブタイプを認識する特異的な拮抗薬を探す目的で、各種の拮抗薬の作用を検討した。ラット大動脈はA受容体を持つが、ET-1が強い収縮作用を、ET-3が弱い収縮作用を示し、sarafotoxin S6c(STX)とIRL1620(IRL)は無効であった。BQ-123、[Thr^<18>, γMeLeu^<19>]-ET-1(TM)はこれらの収縮を強く抑制し、BQ-788は弱い抑制作用を示したが、RES-701-1(RES)は無効であった。血管内皮はB受容体を介して一酸化窒素を遊離し、筋を弛緩させるが、ET-1、ET-3、STX、IRLがほぼ同濃度で弛緩作用を示した。RES、BQ-788、TMおよびB受容体脱感作がこれを抑制した。ウサギ伏在静脈は収縮性のA、B両受容体を持つが、すべての作動薬がほぼ同濃度で収縮を起こした。RESはIRLの作用だけを抑制し、BQ-788とB受容体脱感作はET-3、STX、IRLの作用を抑制し、TMはすべての作動薬の作用を抑制した。ウサギ気管でもすべての作動薬がほぼ同濃度で収縮を起こした。RESはET-3とIRLの作用を抑制し、BQ-788とB受容体脱感作はET-3、STX、IRLの作用を抑制し、TMはすべての作動薬の作用を抑制した。静脈と気管ではBQ-123は無効であったが、B受容体を脱感作した上でBQ-123を投与すると、ET-3収縮はほぼ完全に抑制され、ET-1収縮は一部抑制された。残りのET-1収縮はTMで抑制された。以上の成績から、ラット大動脈は収縮性のA1受容体を、血管内皮は弛緩性のB1受容体を、ウサギ伏在静脈と気管は収縮性のA1、A2、B1およびB2受容体すべてを持つこと、ET-1はすべての受容体を刺激し、ET-3はA1、B1、B2受容体を刺激し、IRLはおもにB1を、STXはおもにB2受容体を刺激すること、さらに、BQ-123はA1受容体の、RESはB1受容体の、BQ-788はB1およびB2および弱いA1拮抗作用を持つこと、TMはすべての受容体の拮抗薬であることが示唆された。
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