研究課題/領域番号 |
06556051
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 秀雄 京都大学, 農学部, 教授 (20026587)
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研究分担者 |
鳥居 伸一郎 京都大学, 農学部, 助手 (50263132)
河田 照雄 京都大学, 農学部, 助教授 (10177701)
松井 徹 京都大学, 農学部, 助教授 (40181680)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | ウシ / 脂肪前駆細胞 / 脂肪細胞 |
研究概要 |
脂肪前駆細胞の増殖および脂肪細胞への分化に関する知見は、肉牛における脂肪蓄積の制御に応用できる可能性を有している。本研究では、ウシ由来脂肪前駆細胞の継代培養系を樹立することを試みるとともに、初代培養系を用いてウシ脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化に影響を及ぼす物質について調べた。 細胞株の樹立には、未分化な細胞が多いと考えられる子牛の脂肪組織や筋肉内脂肪組織を用いた。その過程で、段階的トリプシン法や細胞付着法による脂肪前駆細胞の選別を試みた。また、脂肪前駆細胞に特異的な増殖因子をウシ脂肪組織から粗精製し、これを用いて脂肪前駆細胞の割合を高めることを試みた。しかし、さまざまな手法を用いたにもかかわらず、長期にわたって継代可能で脂肪前駆細胞の形質を保持するクローンを得ることができなかった。 また、ウシ脂肪前駆細胞の初代培養では無血清条件で十分な分化が観察され、ウシ胎児血清の添加はむしろ分化を抑制することを明らかにした。ビタミンCは脂肪細胞への分化を促進した。マウスの脂肪細胞分化に関わる転写制御因子PPARγのリガンドであるチアゾリジン誘導体はウシ脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を強力に誘導した。一方、別の転写制御因子RARのリガンドであるレチノイン酸、およびその前駆物質レチノールは、チアゾリジン誘導体の脂肪細胞分化誘導効果をブロックした。したがって、ウシの脂肪細胞分化でもPPARとRARの相互作用は存在すると推察された。またこのことは肥育牛においてビタミンAが脂肪細胞の分化を通常抑制しており、低ビタミンA栄養状態になるとそれが解除され脂肪交雑が高まる可能性を示唆する。しかし低ビタミンA飼養は欠乏症の発生頻度を増加させるので、推奨できる飼養法ではない。ウシにおける脂肪細胞分化についてさらに明らかにすることにより、より健康的に脂肪交雑を高める飼養技術を開発することが望まれる。
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