研究課題/領域番号 |
06556058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 智也 東京大学, 農学部, 教授 (30087572)
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研究分担者 |
松浦 善治 予防衛生研究室, ウイルス第2部, 室長 (50157252)
川口 博 電気化学工業(株), 総合研究所, 研究員
相川 順一 理化学研究所, 細胞制御化学研究室, 研究員 (10260192)
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
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キーワード | 機能性糖タンパク質 / 天然型糖鎖 / バキュロウィルス / PL-Im / eCG / hCG / 組み換え糖タンパク質 / 哺乳類株化培養細胞 |
研究概要 |
生体内のタンパク質ホルモン、細胞成長因子、サイトカインやこれらの受容体はほとんどが糖タンパク質で、機能性糖タンパク質の生産を目的とした天然型糖鎖を有する糖タンパク質の生産システムの開発が強く望まれている。活性糖タンパク質に多いアスパラギン結合型の糖鎖のペプチド上への付加位置は遺伝子上に指定されているので、遺伝子・ベクター系と発現細胞の組み合わせを工夫すると、アスパラギン結合型糖鎖のコア部分に限っては付加させることが可能である。申請者らはこれまでに数種類の糖タンパク糖鎖の有機合成に成功している。また、先に申請者により発見されている胎盤特異糖タンパク質PL-Imについてバキュロウイルス-昆虫細胞を用いた糖タンパク質発現系を完成させ、糖鎖を有する遺伝子組換えPL-Im(rPL-Im)を生産することに成功した。さらにウマ胎盤由来の絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG)とヒト卵胞刺激ホルモン(hCG)のcDNAクローニングも行ない、バキュロウイルス-昆虫細胞系と哺乳類細胞による糖タンパク質発現系を用いて組換え糖タンパク質の生産した。hCGではαサブユニットの糖鎖を除去すると活性が失われることが知られていたが、eCGの糖鎖付加部位を修飾した変異体を作製して活性を調べた結果、hCG様の活性は確かに低下したが、eCGの独自の活性は逆に著しく増加することが明らかになった。このようにeCGの場合、糖鎖の付加を変えることで生物活性を任意に選択できることが明らかになった。これとは別に、糖タンパク質ホルモンファミリーに属するヒトFSHについてもバキュロウイルスによる生産に成功し、現在、活性を調べている。そして、ラットLeukemia Inhibitory Factor(LIF)についてもホ乳類細胞系での発現に成功し、6箇所のアルパラギン残基に糖鎖が付加されていることを証明した。
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