研究概要 |
(1)システムの構築:高出力アルゴンレーザー、チタンサファイア超短パルスレーザー、半導体レーザー、多数の光学部品(フィルター、光路切換え装置等)、レーザー走査及び測光装置、倒立顕微鏡による全システムの設計と製作が完了し、更に超短パルスレーザーの標準発振波長760nmより以下の690nmでの発振の為の改良が終了した。 (2)二光子励起上最も問題となるのは、超短パルスレーザーが対物レンズ及びその他の光路の透過時に分散が起るために、そのパルス幅が延長することであるが、この問題を解決するために、顕微鏡の光路延長用の平面ガラス(40mm)を除き、対物レンズでの分散を測定する装置を設計製作した。 (3)可視光レーザーによる走査装置と顕微鏡の光軸の調整を行い、蛍光ビーズによる画像取得のテストが終了した。 (4)超短パルスレーザー(760nm,140fsec)による2光子励起により、蛍光物質を塗布した紙の線維のイメージを記録し、2光子励起の起るレーザーの強さに閾値が存在すること、さらに、2光子励起の効率はNIKONの20XCF Fluor (N.A.,0.75)と40X CF Fluor (N.A.,0.85)を比較すると前者が高いことが解った。 (5)シナプス前末端の[Ca^<2+>]_1測定に関して:運動神経終末や、交感神経節シナプス前線維終末に拡散法によるCa^<2+>感受性蛍光プローブを負荷させる方法を確立し、倒立顕微鏡による蛍光測定法を開発した。 (6)新しい細胞内Ca^<2+>遊離機構に関して:脳組織内では細胞外空間のCa^<2+>量は有限であることから、この量の減少による細胞内Ca^<2+>遊離機構の活性化という“容量性Ca^<2+>遊離"の概念を提唱した。
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