研究概要 |
超短波パルスレーザー(チタンサファイアレーザー:690-800 nm、80-150 fsec、80MHz、0.2-1W)によりレーザー走査蛍光測定装置(BIORAD, MRC-600)を介して、倒立顕微鏡(ニコン TMD/TE-300)のステージ上の試料面を走査し、励起された蛍光を同蛍光測定装置で測定する二光子励起レーザー顕微鏡を開発した。蛍光ビーズ(0.3 μm、700 nm励起)による測定で、空間解像力0.3-0.4μm、光軸方向解像力0.3-0.4μmが得られた(対物レンズ CF Fluor 40×、開口率0.85)。空間及び光軸方向解像力は対物レンズの開口率が大きいほど良く、特に光軸方向に対してその効果は顕著であった。又、蛍光の明るさは、対物レンズの開口率と透過率に依存した。励起される試料の領域が焦点面に限定される為、蛍光物質の退色が、単光子励起レーザー顕微鏡に比べて数倍遅かった。Ca^<2+>感受性蛍光物質であるIndo-1やFura-2の励起スペクトラムが単光子励起のスペクトラムから予想される帯域より短波長側へ(二光子励起波長で約20nm)移動することが見られた。培養した海馬ニューロンやウシガエル交感神経節細胞のCa^<2+>感受性プローブによる詳細な三次元蛍光画像が得られ、前者の樹状突起やスパインや後者の神経突起の微細な構造が観測され、高K^+液による細胞内Ca^<2+>上昇が記録され、樹状突起内のCa^<2+>上昇の時間経過が細胞内に比べ速かった。又、二光子励起による細胞内Ca^<2+>測定の対照実験として単光子励起による実験で、カエル運動神経終末でライアノジン受容器を介するCa^<2+>誘導性Ca^<2+>遊離の詳細な機構が解明された。
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