研究分担者 |
山村 由孝 大塚製薬, 研究所, 研究員
山田 勝士 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00037491)
本多 健治 福岡大学, 薬学部, 助手 (60140761)
藤原 道弘 福岡大学, 薬学部, 教授 (10091331)
高野 行夫 福岡大学, 薬学部, 助教授 (50113246)
下東 康幸 九州大学, 理学部, 助教授 (00211293)
斉藤 亮 福岡大学, 薬学部, 助手 (80122696)
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研究概要 |
(1)放射活性標識した受容体リガンドの結合実験とオートラジオグラフィの併用,およびV1/V2各拮抗薬による結合阻害実験の結果,ラット脳内のAVP受容体は,海馬,大脳皮質,扁桃核および脳幹部(延髄孤束核,最後野)の各部位に局在し,各被検部位のAVP受容体はV1受容体の性質を示した(Brain Res.1994). (2)ラットを用い,すでに確立したAVPの循環器作用および行動薬理学に拠った中枢機能の検定法を応用して,脳機能に関するAVP受容体のサブタイプの同定を試みた結果,圧受容器反射の感受性は,延髄最後野のV_1受容体により抑制され,V_2受容体により亢進した.また,空間認知改善作用(Behavioral Brain Ress)および胴体回転運動を調べた結果,これらの行動にはV_1受容体が関与していることを示唆された. (3)脳のAVP受容体のmRNA発現実験を試み,海馬(Biochem. Biophys. Res. Comm.,1994)および1腎1クリップによる腎性体液過剰高血圧ラットの高血圧発症初期で,最後野にV_2mRNAが発現することを認めたが,V_<1a>mRNAの発現は認め得なかった.(2)および(3)の成績を総合すると,今後,さらに中枢のV_1受容体の存在を証明するための検討が必要である. (4)学習・記憶というヒトの高次機能に関与するAVPの誘導体の開発を目標に,特にAVPの6位のCys残基について科学修飾を試みたが,現在まで特記するAVP誘導体は見あたらなかった.一方,非ペプチド性AVP拮抗薬の研究のうち,V_2受容体に親和性を示し,かつ経口可能にして医薬品としての付加価値を高める化学構造を明らかにした(J.Med.Chem.1996).
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