研究課題/領域番号 |
06557011
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上代 淑人 東京工業大学, 生命理工学部, 客員教授 (90012690)
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研究分担者 |
小出 寛 東京工業大学, 生命理工学部, 寄附講座教員 (70260536)
佐藤 孝哉 東京工業大学, 生命理工学部, 寄附講座教員 (20251655)
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キーワード | Ras / NF-1 / Raf / 細胞内シグナル伝達 / GTP結合タンパク質 |
研究概要 |
本年度は、精製したタンパク質を用いた試験管内反応系において、NF-1GRDとRasタンパク質との親和性について定量的な解析を行なった。NF-1タンパク質は、Rasのエフェクター領域に結合することが知られているが、最近、セリン・トレオニンキナーゼの1つでRasの下流で機能していると考えられているRafタンパク質もRasの同じ領域に結合することが、明らかにされている。そこで本研究では、Rasの細胞内でのターゲットの1つと考えられるRafタンパク質とRasタンパク質との相互作用が、我々が得た変異型NF-1GRDによって実際に阻害されることを試験管内再構成系によって示した。まずGTP結合型Rasと結合し、共免疫沈降されるc-Rafタンパク質をウェスタンブロット法により検出する系において野生型および変異型NF-1GRDの作用を検討したことろ、変異型NF-1GRDは、野生型に比べて低濃度でRasとRafとの結合に対して阻害効果を示した。また、Rasと共免疫沈降されるMEKキナーゼ活性を指標としてNF-1GRDの阻害効果を定量した場合でも、変異型NF-1GRDの方が強い効果を示した。さらにGTPase活性の阻害実験によりGTP結合型Rasと野生型および変異型NF-1GRDとの親和性を測定した結果、変異型NF-1GRDの方が高い親和性を示した。以上の結果より、変異型NF-1GRDは、変癌性Rasに固く結合することで、Rasのエフェクター分子への作用を特異性的に阻害しているものと考えられた。
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