研究課題/領域番号 |
06557012
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高井 義美 大阪大学, 医学部, 教授 (60093514)
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研究分担者 |
河田 純男 大阪大学, 医学部, 助教授 (90183285)
佐々木 卓也 大阪大学, 医学部, 助手 (40241278)
田中 一馬 大阪大学, 医学部, 講師 (60188290)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 低分子量GTP結合蛋白質 / Ras / B-Raf / Rho / The ERM family / CD44 / Rab3A / Rabphilin-3A |
研究概要 |
本研究では、私共の発見した低分子量G蛋白質およびその関連蛋白質とそれらの変異体のcDNAやペプチド、特異抗体を作製し、それらを用いて低分子量G蛋白質の活性化機構、機能と作用機構について検討すると共に、低分子量G蛋白質の制御異常による病態の解析や新しい診断法、治療法の開発に応用することを目的としている。私共は、本研究で、無細胞系でRasによりMAPキナーゼを活性化するアッセイ系を用いて、Rasの標的蛋白質を精製し、B-Rafと14-3-3蛋白質の複合体であることを明らかにした。さらに、RasファミリーのRap1が、Rasと同様に、B-Rafを活性化することを明らかにし、Rap1がRasの機能に対して促進的に作用する機構が存在することを明らかにした。また、私共が見い出しているSmgGDSが、他のRasのGEPと異なって、GTP結合型Ki-Rasを細胞膜から細胞質へトランスロケーションする活性を有することを示した。さらに、酵母のtwo hybrid法を用いて、SmgGDSに結合する新しい蛋白質を見い出し、SMAP(SmgGDS-Associated Protein)と命名した。SmgGDSとSMAPは、共にアルマジロ(Arm)配列を有し、他のAm配列を有する蛋白質の機能から、細胞接着が核輸送に機能している可能性がある。一方、私共は、種々の細胞刺激によって、Rhoが細胞質から細胞膜ラッフリング領域、細胞間接着部位、細胞質分裂の収縮環等の細胞膜部位へ移行することを明らかにした。これらの部位には、アクチン細胞骨格系と細胞膜との結合を制御するERM-CD44系が存在しており、RhoがERM-CD44系を介してアクチン細胞骨格系の再編成を制御している可能性を示した。また、酵母をモデル系に用いて、酵母RHO1の標的蛋白質がPKC1(Cキナーゼホモログ)、BNI1(細胞質分裂関連蛋白質)、およびグルカン合成酵素であることを明らかにした。他方、私共は、Rab3Aの標的蛋白質Rabphilin-3Aに類似し、C2様ドメインを二つ持つ蛋白質を見い出してDoc2と命名した。さらに、Rabphilin-3AおよびDoc2とそれらの変異体の遺伝子やリコンビナント蛋白質を用いて、両蛋白質が神経伝達物質の放出を制御していることを明らかにした。以上の結果を得たことにより、本研究の研究計画はほぼ達成できたと考えらている。
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