研究課題/領域番号 |
06557015
|
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
松村 人志 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究副部長 (50173886)
|
研究分担者 |
佐藤 伸介 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40270574)
渡部 紀久子 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (90211672)
裏出 良博 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究副部長 (10201360)
早石 修 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 所長 (40025507)
|
キーワード | プロスタグランジンD_2 / 徐波睡眠 / A_2アデノシン受容体 / 吻側前脳基底部 / 側坐核 / 嗅結節 / ventral striatum / CGS21680 |
研究概要 |
現在広く使用されている主にベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤は、非特異的な脳機能抑制により、覚醒状態を阻害し、結果的に睡眠を引き起こすものと考えられるが、その睡眠は自然睡眠とは言い難く、副作用も多い。そこで、脳内の睡眠促進機構に特異的に働きかけて睡眠を引き起こすような睡眠導入・促進剤の開発が必要と考えられる。そのためには、睡眠を積極的に促進する特異的機構を明らかにする必要があるが、特に生理的徐波睡眠の誘発・促進機構に関しては、未だ十分に解明されていない。ところがわれわれは、プロスタグランジン(PG)D_2が非常に顕著に徐波睡眠を促進する作用部位をラットで明らかにすることに成功した。以前から、PGD_2の作用部位は、睡眠中枢のひとつと信じられている視束前野であろうと予測されていたが、実験結果から、この予測は誤りで、真実の作用部位は、より吻側領域の腹側表層部に存在することが示された。その領域は、Brocaの対角帯(diagonal band)中隔域(septal regionl)の他、ventral striatumとも呼ばれる側坐核(accumbens nucleus)や嗅結節(olfactory tubercle)が存在する領域で、PGD_2はこの領域の腹側脳表部に作用する。さらに最近、PGD_2が当該領域の腹側表層部に作用した後には、側坐核(accumbens nucleus)や嗅結節(olfactory tubercle)に豊富に発現しているA_2アデノシン受容体の働きを介して、徐波睡眠促進に到っていることが明らかになってきた。つまり、A_2アデノシン受容体アゴニスト(CGS21680)が、PGD_2同様睡眠を促進し、そのアンタゴニストによる前処置がPGD_2の睡眠促進作用を抑制した。これらの実験事実から、PGD_2の関連物質のみならず、A_2アデノシン受容体関連諸物質も、積極的に睡眠を促進するように作用する薬剤として、開発の可能性があることが示唆された。
|