研究概要 |
光顕レベルでのin situ hybridization(ISH)を行う中で,電顕レベルに応用できないかとの考えを持つに至った.光顕レベルでは局在が核か細胞質か程度しか解らないし,機能などとの関係でも不明の点が多かった.従って,pre-embeddingでhybridize後,post-embeddingで標識に用いたBrdUを金コロイドラベル抗BrdU抗体で可視化する方法を開発し,更にその方法の良否を反復して検討した.副甲状腺の種々の条件の組織でのPTHrpの発現,腎でのIL-6の発現,骨肉腫培養細胞株のp53変異を有する株と正常株の比較等で,固定条件やhybridizationの条件を検討し,超微形態の保存にはかなり良好な結果を得た.すなわちエンドトキシン投与後のIL-6の発現はノーザンブロットで60分後にピークを示した.同時に電顕レベルでのISHを行いエンドトキシン投与15分後では細胞核内にのみ金コロイドを認め,細胞質内には少ないが,60分後では数も多くかつ細胞質内に移行した.p53でも同様でwild株,変異株の同調培養系でノーザンブロットとの対比を行い,変異体で免疫染色陽性なのは,発現の亢進とターンオーバーの遅れの両方が関係していることが明らかになった。BrdU法に固執する傾向があり,他方との客観的比較に少し,問題があった.しかし,ノーザン法でのmRNA発現を同調培養法で一定化し,核,細胞質への移行をp53について検討する等,超微形態がどうしても必要な実験系を確立することができた.メッセージを金コロイドで可視化する方法での定量性の検討が必要であることが解り,更に検討を重ねる必要がある.
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