研究課題/領域番号 |
06557018
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
浅井 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50175163)
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研究分担者 |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50142419)
奥沢 英一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20177166)
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キーワード | 寄生虫 / 原生動物 / トキソプラズマ / NTPase / 遺伝子診断 / PCR / RT-PCR |
研究概要 |
本年度はトキソプラズマ感染動物及び先天性トキソプラズマ症を疑われた患者検体よりDNAとRNA抽出し、増幅区間約800ベースを標的としたPCR及びRT-PCRを行った。動物実験では確実に標的遺伝子及びmRNAの検出が可能であった。そこで我々は先天性トキソプラズマ症を疑われた患者の臨床診断を試みた。患児髄液DNAを用いたPCRでは反応陰性、RNAを用いたRT-PCRでは反応陽性であった。よって、RT-PCRにより患児髄液中にトキソプラズマの存在したことを確認することができ、先天性トキソプラズマ症と判定された。日令70日、治療開始後再び患児髄液を採取しPCR、RT-PCRを行った。その結果、治療前と同様、髄液RNAを用いたRT-PCRのみ反応陽性であった。我々の今までの基礎的実験の結果、RT-PCRの感度はタキゾイト虫体1個相当からも検出が可能で、DNAのそれが10虫体相当であるのと比べ、約10倍の検出能を有していた。RNAを用いた検出系がDNAに比べより高度な感度を有するのは、急性期に出現するタキゾイトがmRNAに富み、虫体内のコピー数が多いことより説明できる。この症例を通して我々は、RT-PCRを用いた先天性トキソプラズマ症の診断が、感度の上で優れていること、とくに今回のようなタキゾイト虫体が引き起こす急性期症例では有用であることを示唆する結果を得た。この検査法は従来の虫体検出法に比べて大幅に時間を短縮可能である。今後、症例を増やし基礎的データを積み重ねることにより、一層実用的な方向に進めることが可能と考えられた。
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