研究概要 |
本年度は該当研究の最終年度であるので、前年度の実験を継続すると共に現在まで得られたデータを解析して診断法の有用性について検討を行った。トキソプラズマ感染動物及び先天性トキソプラズマ症を疑われた患者検体よりDNAとRNA抽出し、増幅区間約800ベースを標的としたPCR及びRT-PCRを行った。動物実験では前年と同様に標的遺伝子及びmRNAの検出を行い、診断法の基礎的条件をさらに検討した。その結果、テンペレートRNAの抽出条件が以下のように決定された。RNAの抽出;細胞の可溶化液(4M Guanidium thiocyanate,25mM Na-Citrate,0.5% Sarcosyl,0.1M 2-Mercaptoethanol)を細胞あるいは組織の10倍量加えてホモジナイズする。1/10量のNa-Acetate、等量のフェノール、1/5量のクロロホルム/イソアミル(49:1)を加えて、攪拌後15分間氷冷する。これを9250gで15分間4℃で遠心し、上清に等量のイソプロパノールを加えて-70℃で1時間RNAを沈殿させる。次に9250gで20分間4℃で遠心し、沈殿したRNAを真空乾燥後再度細胞の可溶化液をもとの組織と等量加える。これに等量のイソプロパノールを加えて-70℃で一晩RNAを沈殿させる。沈殿したRNAを前述と同様に遠心で集め、75%エタノールで洗浄後乾燥する。先天性トキソプラズマ症を疑われた患者の臨床診断を前年度に引き続き試みたが、両例とも全て陰性であり症例の追加はできなかった。しかし、実用のための基礎的条件は動物実験と前年の症例で全て得られた。
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