研究分担者 |
吉仲 由之 大塚製薬, 微生物研究所, 部長
駒田 洋 鈴鹿医療科学技術大学, 一般教養部, 助教授 (10144247)
河野 光雄 三重大学, 医学部, 助手 (00234097)
松村 治雄 三重大学, 医学部, 助手 (10229536)
鶴留 雅人 三重大学, 医学部, 助教授 (50159042)
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研究概要 |
gene manipulationを用いた新しいムンプスウイルスワクチンの作製のためにネガティブストランドRNAウイルスにおけるリバースジェネティクスの確立とともに、PIV-2の転写の解析を、ポリメラーゼの供給源として、ヘルパーウイルス系と組み換え体ワクシニアウイルスT7発現系の2つの方法を用いて行った。 1。ヘルパーウイルス系---T7ポリメラーゼを用いてin vitroで合成したPIV-2ゲノム様のミニゲノムRNAを各種細胞(HeLa,Vero,MDCK,Cop5)に種々の方法(リポフェクチン法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法)を用いてトランスフェクトして、そのミニゲノムからの転写産物である蛋白を抗MuV-NP抗体で蛍光抗体法により同定しようと試みたが、このいずれの組み合わせでも高効率での発現及び再現性はなかった。また、トランスフェクトするミニゲノムRNA濃度等の条件検討、さらに、R.R.1ysateを使ったRNP複合体の再構成産物による実験も行ったが結果は変わらなかった。このヘルパーウイルス系での実験では、細胞約5万個に1個程度ミニゲノム転写産物の発現が認められた。この要因はRNAのトランスフェクト効率の悪さに起因しているものと思われる。 2。組み換え体ワクシニアウイルスT7発現系---種々の条件検討により、ワクシニアウイルスのm.o.i.を2とし、PIV-2ポリメラーゼ複合体を形成するNP,P,L蛋白のcDNA量をそれぞれ2、2、1ugとして、Ear1で切断したミニゲノムcDNA(2ug)とともにワクシニアウイルス感染細胞にリポフェクチンを用いてトランスフェクトした。その結果、ミニゲノムからの本来の転写産物とともにRNA-editingによりできたと考えられる蛋白がウエスタンブロットで検出された。本研究によって基本的には、parainfluenza virusのリバースジェネティクスが確立され、遺伝子工学に基ずく新しいムンプスウイルスワクチンの作製に一歩近づいた。
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