研究概要 |
実証的なデータにより生物学的モニタリング法を確立し、それらの結果に基づいて健康教育や禁煙指導を推進し,また指導後の効果や指導方法の再評価等を行うことは,極めて効果的で効率のよい方法と思われる。また,このような方法は,一地域だけでなく,全国的なレベルで推進されるべきで,そう言った意味からも喫煙状況や健康教育および生物学的モニタリングの効果判定などについては,評価基準が一定で,画一化した方法で行い,それらのデータは全国どこのレベルでも同じように比較検討できることが望ましい。そこで,われわれは,独自に開発したイオンペア-逆相系高速液体クロマトグラフィー法(IP-R-HPLC法)を応用した尿中コチニン自動分析装置の開発を行い,本器を利用しての喫煙の有無や受動喫煙などに関して基準値となるような尿中コチニン濃度に関するデータを生物学的モニタリングの立場から蓄積し,以下のような結果を得た。 平成6年度申請のガラスチェンバー法による自動分析装置をさらに改良し,リキッドハンドラ-(GUILSON 222XL)とダイリューター(GUILSON 401C DILUTOR)およびシステムコントローラー(GUILSON CONTROLERのSAMPLER CONTROL PROGRAMを独自開発)を基本システムとし,それらに乾固用装置(アルミヒートブロック<GUILSON 60検体用>,温度コントローラ<832 TEMPER ATURE REGULATOR>,60穴エア-射出装置<同時60穴射出管[独自作成],水平移動昇降式射出管固定用スタンド[独自作成],加湿装置[独自作成],エア-ポンプ[TECHNO TAKATSUKI AIRPUMP SPP-25GA]>),スイングロータ-式遠心分離機(TOMY LC-131最大80検体同時分離可能)を組み合わせることによって,尿試料<現時点では最大60検体>を一定量所定のサンプル管に手動で注入後は,各行程(クロロホルム,NaOH の一定量の注入,混合,液-液抽出,抽出液の選択的な採取,乾固,濃縮,HPLC・オートサンプラー注入用試料作成等)はその動作<注入,排出,洗浄,混和>[速度,量等]およびその際の作動時間,温度等は独自に開発したコンピュータソウトにより自動化で行えた。本装置により,尿中コチニンの測定は60検体を一斉にほぼ自動的(遠心分離操作と射出管の移動についてのみ手動操作が必要)にハンドラ-上で流れ作業的に進めることができ,その上,温度コントローラーにより一定温度下(40℃)に行うことができた。また,以上の操作は,遠心分離操作以外は全て強制排気・フィルター式簡易ドラフト下で行え,室内環境汚染や個人曝露は極力,避ける方法で行えた。なお,それらの装置による分離能,抽出率は高く,濃縮後の分析再現性は良好で,IP-R-HPLC法との併用で能動喫煙者は勿論,受動喫煙者の尿中コチニン測定も十分満足できる精度で行え,尿中コチニン濃度に関して喫煙の有無や受動喫煙の基準値となるような示唆的な結果を得た。
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