研究課題/領域番号 |
06557036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 毅 東京大学, 医学部(病), 助教授 (80158641)
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研究分担者 |
畠 啓視 三菱化学ビーシーエル, 研究開発部, 研究員
小池 和彦 東京大学, 医学部(病), 助手 (80240703)
谷口 茂夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (50188380)
中尾 彰秀 東京大学, 医学部(病), 助手 (10159056)
野坂 和男 東京大学, 医学部(病), 助手 (70150274)
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キーワード | RT / PCR / 血小板活性化因子 / プロスタグランジン / ネフロン / HCV / mRNA定量 / 生検 |
研究概要 |
病態の診断、病因の解明、治療評価のためには腎、肝組織の生検標本などの微量標本での局所因子のmRNA発現、感染ウィルスの定量などは重要である。本研究はこれらの目的ため、組織局所のRNAの定量法としてのreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)法の確立と応用を目指している。具体的研究項目での本年度の成果は以下の通りである。(1)定量的RT-PCR法(MRT-PCR)の改良:本年度にはMRT-PCR法やRNAを外部標準とする定量的RT-PCRに関しての方法論的基礎は既に確立した。非放射性のキット化の目度もついた。(2)生検標本におけるmRNA定量性の確認:生検材料よりさらに微量なマウス腎のmicroidisscction標本にてプロタグランジン(PG)E受容体EP3サプタイプのネフロン内の定量的分布と個体発生での発現変化を発見した。EP3サブタイプや血小板活性化因子(PAF)受容体mRNAなどについて、腎の生検組織のMRT-PCRとNorthern分析やin situ hybridizationなど他の方法との比較検討を行いつつある。(3)病態モデル動物でのmRNAの動態と治療効果:腎障害モデルとして、抗Thy-1腎炎にてPAF受容体mRNAの定量と腎組織所見の経時的比較を施行中である。また、PAF分解酵素のcDNAクローニング(東大薬学部、新井博士)により、この酵素のmRNA及び蛋白レベルでの動態の検討も準備中である。(4)遺伝子導入細胞、臓器における遺伝子発現の定量化の検討:PAF受容体遺伝子治療における治療評価の予備的実験として、各種GTP結合蛋白、PAF受容体cDNAクローンをin vitroで導入する方法は確立した。現在、これらのmRNA定量と細胞内Ca^<2+>上昇など細胞機能の比較検討を行っている。(5)C型慢性肝炎の肝組織ウィルスRNA量の活動生、治療効果との関連の検討:RNAを外部標準とするcommpctitive RT-PCR法は確立した。しかし、新しいブローブ法によるIICV-RNA定量法も発表されているので、現在これとの優劣を検討中である。 この様に、我々は、既にMRT-PCR法やRNAを外部標準とする定量的RT-PCRに関しての方法論的基礎は確立し、生検標本や臨床的生検標本での適応も可能な段階となっている。RT-PCR法の改良にもある程度の目度がついている。今後は、これらの方法を前述の病態モデルや臨床標本に応用して行くための基礎、応用実験を重ねることで当初の目的を達成したい。
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