研究概要 |
1.我々が単離した膜2回貫通型カリウムチャネルの1つGIRK2BcDNA(Isomoto et.al.,Biochem.Bophys.Res.Commun.218,286,1966)をプローブとしてマウス脳cDNAライブラリーよりやはり膜貫通領域を2箇所持つuKATP-1クローンを単離した。このuKATP1は清野らがクローン化し報告しているuKATP-1(J Biol.Chem.270,5691,1995)と同一のクローンであった。さらに、uKATP-1をプローブとして脳cDNAライブラリーよりBIRcDNAを単離した。このBIRcDNAは清野らによってクローン化され特に膵臓ランゲルハンス島β細胞に強く発現しKATPチャネルであることが証明されたチャネル(Science 270,1166,1996)と同一であった。このKATPチャネルは血糖降下薬のスルフォニルウレアを結合するスルフォニルウレアレセプター(SU receptor)と共発現させるとスルフォニルウレアによってその開口が抑制されることが報告されており、今後Bryan(Baylor College,USA)より供与を受けたSU receptor cDNAと共発現させてその電気生理学的性質と各種カリウムチャネルオープナ-(KCO)の作用を検討していく。 2.スルフォニルウレア薬の反応性には臓器特異性がありSU receptorにはいろいろのサブタイプが存在していると考えられている。分子レベルの臓器特異的なKCOの効果を検討するためにSU receptor cDNAをプローブとして心臓cDNAライブラリーをスクリーニングし新たに2つのサブタイプと考えられるcDNAクローンを単離した。この2つのクローンとSU receptor cDNAとのホモロジーはいずれも約70%であり心筋に発現しているサブタイプの可能性が非常に高いと考えられた。これらのクローンはその5′側が欠損しているため現在全長領域のクローン化をおこなっている。
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