研究課題
平成6年度は、マストパランのグルコース取り込み促進作用に関して、(1)マストパランが実際にGluT4を細胞膜上へ転位させるかどうか、(2)マストパランのグルコース取り込み促進作用がG蛋白を介するものであるかどうか、また(3)マストパランの作用点はどこか、という3点に関して検討を行った。その結果、マストパランによりGluT4が低密度画分より細胞膜画分へ転位することがイムノブロット法により確認された。またマストパランよりも強いG蛋白活性化作用を持つマストパランアナログであるMas7はマストパランよりも低濃度でグルコースの取り込みを促進すること、一方G蛋白活性化作用のないアナログであるMas17にはグルコース取り込み促進作用のないことが明らかになった。したがって種々のマストパランアナログのG蛋白活性化作用とグルコース取り込み促進作用の間には相関関係がみられ、マストパランの作用はG蛋白を介するものであることが強く示唆された。また、マストパランの作用点に関して、MHCクラスl由来のペプチドであるD^k-(62-85)を用いて検討を行った。このペプチドはGluT4のエンドサイトーシスをほぼ完全に抑制するため、D^k-(62-85)存在下ではGluT4のエキソサイトーシスのみを測定することが可能である。その結果、D^k-(62-85)存在下ではマストパランの用量反応曲線は左にシフトし、マストパランが実際には見かけより低濃度でGluT4のエキソサイトーシスを促進することがわかった。さらに50μM以上の高濃度ではD^k-(62-85)による取り込みの増強が見られないことから、高濃度のマストパランはGluT4のエンドサイトーシスを抑制することが示唆された。
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