研究課題/領域番号 |
06557058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 純男 大阪大学, 医学部, 助教授 (90183285)
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研究分担者 |
中村 正 大阪大学, 医学部, 助手 (90252668)
田村 信司 大阪大学, 医学部, 助手 (30243223)
山下 静也 大阪大学, 医学部, 助手 (60243242)
竹村 芳 大阪大学, 医学部, 助手 (00161240)
松沢 祐二 大阪大学, 医学部, 教授 (70116101)
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キーワード | Rasp21 / ファネルシルトランスフェラーゼ / 酵素阻害剤 / HPLC / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 / 増殖抑制 |
研究概要 |
本研究は動脈硬化症における合成型平滑筋細胞の増殖抑制、動脈中膜から内膜への平滑筋細胞の遊走および血管形成術後の動脈狭窄の防止のためのファネルシルトランスフェラーゼ阻害剤を用いた薬物療法の実用化に向けた基礎研究を目的としている。 本年度において、まず、ファネルシルトランスフェラーゼ活性の簡易測定法を開発した。具体的にはN-Rasp21のC未満に相当する7つのアミノ酸からなるペプチドを合成し、このペプチドをダブシル基で修飾したものを基質として酵素反応を行わせ、産物であるフェネルシル化ペプチドをHPLCで分離同定し、可視光にて計測するシステムを開発した(J.Chromatogr.B.1995,663:35-42)。 また、ストレプトゾトシン投与糖尿病ラットより単離した動脈平滑筋細胞(SMC)では、Rasp21ファネルシルトランスフェラーゼは正常ラット由来のSMCと比較して、その発現が有意に増加していることが明らかになった。本酵素阻害剤であるUCF1-Cを添加すると10μM以上で有意の増殖抑制を認めた。この抑制効果は糖尿病ラット由来SMCにおいて、より顕著に認められた。PDGFで刺激した際のMAPキナーゼ活性もUCF1-C添加により著明に抑制され、UCF1-Cによる増殖抑制はRas-signalingの抑制を介することが示唆された。同様にWHHLウサギ由来の内膜SMCを用いた実験でも同じ成績を得ている。 以上より、ファネルシルトランスフェラーゼ阻害剤は、RasP21のファネルシル化を阻害することにより、Ras-signalingを抑制し、その結果、細胞増殖の抑制効果が出現すると考えられる。
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