研究課題
試験研究(B)
本研究は、臨床固定されている最強の摂食促進物質であり、しかも単独でエネルギー消費を抑制し著しい内蔵脂肪沈着を伴う肥満モデル動物をつくることができるbulimin(ブリミン:NPY)を臨床応用のターゲットにした研究である。1.我々はBACO(bulimin agonist of cyclic octapeptide of NPY)というC端側の環状ペプチドが、NPYの構造に近似し摂食促進作用を示し、更にこの作用はNPYの血圧上昇作用とは解離しうる事を明らかにした。2.非ペプチド性NPY拮抗剤の母格となるべき化合物を数種類見出した。これらのNPY化合物は、NPYの摂食促進作用をつかさどると考えられているY_1受容体C神経芽細胞腫由来SK-N-MC細胞と高親和性を有するが、Y_2受容体とはクロスしない。3.NPY化合物は脳室内投与により摂食抑制を発現するが、血管内収縮作用は示さない。4.NPY化合物の一部は、BACOと同じく、摂食促進作用を発現した。(すなわちアゴニストの固定)5.しかし現在までのところNPYの摂食促進作用と鎮静作用との明確な分離ができず、また血液・脳関門の通過性に難点を有している。最近になり、Y_5受容体がNPYの“食"をつかさどる重要な受容体として報告されるに及び、スクリーニングされた化合物の再評価が必須となってきた。また一方では、Y_5受容体の関与を否定する論文も報告された。現時点ではNPYの“食"をつかさどる受容体に関しては、なお明らかでない。今後、化合物のスクリーニングをin vitro及びin vivoの両面から行っていく予定である。
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