研究課題/領域番号 |
06557067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎮西 恒雄 東京大学, 医学部(医), 助手 (20197643)
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研究分担者 |
深津 晋 東京大学, 教養学部, 助教授 (60199164)
阿部 裕輔 東京大学, 医学部(医), 助手 (90193010)
藤正 巖 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
井街 宏 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010076)
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
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キーワード | 人工シナプス / 量子井戸発光素子 / 脊髄根糸電位 / 再生型神経電極 |
研究概要 |
本研究で開発する人工シナプスは、生体内で光通信を行う小型の集積回路である。現在、発光素子としてはガリウム砒素による発光ダイオードが一般的である。しかし、ガリウム砒素による素子と、シリコン系素子とが一体となった集積回路を形成するのは困難であり、個別にデバイスを形成し結合させるハイブリッド型の集積回路方式をとることとなる。この方法では神経細胞内に入るサイズまで回路全体を縮小することは、大きな困難を伴う。そこで、われわれは、シリコン系のプロセスのみを用いて、生体細胞内に埋め込む微小発光素子を形成する方針をとった。すなわち、常温で発光可能なシリコン-ゲルマニウムによる量子井戸発光素子の開発を行った。現在、さらに発光効率を上げ、微小電力での動作を目指して改良を加えている。 本研究では、人工神経節を埋め込む部位として、脊髄を想定している。このためには、低侵襲で脊髄にアプローチできることが望ましい。さらに、末梢神経と埋め込む神経細胞との対応を脊髄レベルで知る必要がある。そこで、人工神経節の脊髄への移植方法を検討するために、極細径内視鏡による脊髄-クモ膜下腔へのアプローチを試みた。実験動物として成ヤギ(平均体重52kg)を用いた。外径1.4mm(チャンネル径0.8mm)の内視鏡で、脊髄への経皮的アプローチと脊髄根糸電位の計測が可能であった。同時に、神経電気生理学的計測による末梢神経と脊髄根糸の対応、脊髄背面電位の分布についても計測を行った。この結果、一部の実験例で末梢神経と脊髄根糸の対応が得られた。しかし、現在のところ計測に至るまでの操作が困難なため、さらに内視鏡、測定電極を改良して、根糸の同定が再現性良くできるよう開発を進めている。 本研究では、神経細胞内に計測制御系を埋め込むことを最終目的としているが、同時に中枢神経系と末梢神経系とのインパルス情報伝達、処理の関連について研究を行うため、末梢神経における再生型神経電極についても開発を進めている。
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