研究課題/領域番号 |
06557067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎮西 恒雄 東京大学, 医学部(病), 助手 (20197643)
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研究分担者 |
深津 晋 東京大学, 教養学部, 助教授 (60199164)
阿部 裕輔 東京大学, 医学部, 助手 (90193010)
藤正 巌 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
井街 宏 東京大学, 医学部, 教授 (10010076)
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
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キーワード | 人工シナプス / 脊髄根糸電位 / 再生型神経電極 |
研究概要 |
われわれは、人工シナプスを移植し、長期間安定に留置可能な部位として、脊髄根糸の解剖学的な特殊性着目した。脊髄根糸とは、脊髄クモ膜下腔において、神経根が脊髄に接続する部分である。この部位では神経根は多数の微細な神経束に分離し、ほぼ推体の広がりをもっている。個々の根糸に含まれる神経線維の数は、末梢神経に比べはるかに少なく、根系を運ぶことで、選択的に個々の神経線維束にアプローチできる。また、前根、後根で運動、感覚神経が分離しているのも、有利な点である。 この部位への低侵襲のアプローチの手段として、われわれは脊髄内視鏡を用いた。脊髄内視鏡を通してクモ膜下腔で脊髄の構造が容易に肉眼的に確認できた。さらに内視鏡下に神経電気生理学的測定を併用することで、神経根の支配領域を特定することが可能であった。内視鏡下に硬膜外腔および、クモ膜下腔に挿入した電極から、肋間神経の電気刺激に対して、脊髄誘発電位(SCP)が導出された。導出用の双極電極を脊髄に沿って被刺激後根の上方から下方に移動させると、導出されるSCPは、当該後根の進入部付近で振幅が大きくなり、その後根の上下で位相の反転が見られた。内視鏡のチヤンネルを通じて挿入した単極誘導電極を用いて、末梢刺激に応じた後根根糸電位を検出できた。 神経再生型電極を作成し、ラットの坐骨神経に移植を行った。作成した神経再生電極は、生体適合性材料としてポリイミドをベースとし、この表面に密着した金属薄膜をエッチングによりパタ-ニングして電極としたものである。動物実験では、電極孔を貫通した神経繊維が複数観察できたが、神経インパルスは電極リ-ドパターンの切断のため、導出できていない。現在、電極材料として銅に白金をスパッタしたものを用いているが、生体への毒性、耐久性上の問題があり、金電極を開発中である。
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