研究概要 |
昨年度はヒト細胞培養系における同種気道上皮細胞株が同種リンパ球MHCクラスI指向性細胞障害活性を賦活化するかどうかについて検討を行った。今年度(1)同種気道上皮細胞株表面のcostimulatory factorの関与(2)内皮細胞の冷凍保存によるAPC能の変化に関して検討を行った。 (1)健康人末梢血リンパ球(PBL)をeffector(EFF)とし、(1)気道上皮細胞株BEAS-2B(B2B)をstimulator(STM)としたリンパ球混合培養でSTMを(A)抗HLA-classll(B)classll(C)抗ICAM-1(D)抗B7(E)抗LFA-3モノクローナル抗体(MAb)のいずれかにて予めマスクし培養後の活性生細胞をMTTassayにて測定した。Flowcytometry(FCM)によるB2B表面抗原解析では上記5抗原全て染色陽性であった。MTTではB2BがSTMの場合、MAbマスクによる比活性はHLA-class I. II, LFA-3のマスクで有意に低下したがICAM-1,B7では低下しなかった。B2Bは通常アロPBLにTh-2優位の活性化を起こす事を既に明らかにしたが、ICAM-1, B7が発現しているのにこれを阻害しても活性化が低下しなかったことは、別の機序によるCOS機能の低下がすでにあるか、または別種のCOSが欠損している可能性がある。 (2)ヒト内皮細胞株(HUVEC, ECV304)について冷蔵保存またはプログラムフリーザ-保存において、細胞のviabilityについてMTTassayにて、またHLA classI, II抗原発現についてFCMにて検討した。コントロールと比較し、1週間保存では冷蔵保存のMTTは有意に低値であった。HLA classIIの発現では冷蔵保存では有意に低値であり、またinterferon-γによるclass II発現誘発も起こらなかった。一方プログラムフリーザ-群ではMTT, class II発現、IFN誘発も良好であった。
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