研究分担者 |
中野 清治 国立循環器病センター, 心臓血管外科, 医長 (10138919)
林 純一 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (30164940)
川副 浩平 岩手医科大学, 外科学第3講座, 教授 (50075561)
富岡 淳 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (40217526)
川田 宏之 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (20177702)
|
研究概要 |
昨年度までの成果から,人工弁加速耐久試験法の確立に対して力学的評価の重要性が提示された.そこで,最終年度では,心臓代用弁の標準拍動数(60〜80[bpm])の約10〜20倍の加速環境下で人工弁の実験の耐久性を本当に予測しうるのかを調べる事を目的とした.この目的達成のために高分子性薄膜弁を被試験弁として採用し,まず弁破断位置を予測するため有限要素法を用いて弁閉鎖時の静圧によって弁葉に生じる歪み解析を行った.その結果,主に2つの位置で歪みが集中することが確認された.一方,本弁を人工心臓に組み込んだ300日を超える動物実験例ではクリープ変形が集中する位置で破断が確認された.この破断位置は有限要素法による解析で確認された歪みの集中する位置と対応していた.そこで,現有している加速耐久試験装置を用いて,クリープ変形による弁破断を再現することを目指した.従来の常温(20[℃])での試験では十分なクリープ変形が得られないことが判明したため,新たに試験温度を調節できるシステムを取り付けた.弁破断後にクリープ変形量を求めた結果,作動流体40[℃],弁閉鎖衝撃力2.5[N]の試験条件で弁閉鎖荷重方向のクリープ変形量は最大で0.58[mm]となり,常温での試験結果と比較して変形量は約3倍となった.しかし,この結果は動物実験結果の1/3を得るにとどまった.また破断はいずれも衝撃力の集中する位置で起こり,動物実験結果と一致しなかった.ただし,歪解析の計算結果によれば,動物実験もin-vitro耐久試験もどちらの破断位置で弁が壊れてもおかしくないというデータが得られている.これら一連の実験から,より正確に耐久性予測の可能なシステムの構築を行う準備ができた.
|