研究課題/領域番号 |
06557077
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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研究分担者 |
木竜 徹 新潟大学, 工学部, 教授 (80115021)
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キーワード | brain tumor / radiofrequency / hyperthermia / interstitial hyperthermia |
研究概要 |
手術、放射線療法、化学療法に次ぐ第4の治療として期待され登場した温熱療法は1981年から脳腫瘍に応用されている。我々は、13.56MHzのRF容量型誘電加温法として臨床治験を行った。この方法は、一対の円盤電極により頭皮上から広く頭蓋内を加温しうる方法であるが、健常側の加温の問題、両側の骨片除去の煩雑さ、深部加温の困難なこと等の欠点があった。そこで、前年度は簡便かつ深部腫瘍にも応用しうる、針型電極を用いた組織内加温法を検討してきた。本年度では、我々が開発したRF組織内加温法とその初期臨床成績を検討した。対象は悪性脳腫瘍患者30例である。初発例は直達手術不能例もしくは合併症例あるいは高齢者である。RF頭蓋内電極(RF antenna)としてgoldでcoatingした直径1.0mmのstainless針を用いた。電極はsiliconで被覆し、腫瘍の大きさにあわせて電極の露出部の長さを調節した。この電極は定位脳手術装置を用いて正確に腫瘍内に刺入、留置することが可能である。RF発声装置は13.56MHzのRF‐generatorで、出力50Wまでの小型、低出力装置を試作し、本治療に用いた。加温回数は3‐9回である。その結果、全例とも定位脳手術操作によりアンテナ及び腫瘍辺縁部の温度センサーの設置が行われた。加温出力は最小5W、最大で20Wまでで加温しえた。加温装置の漏電等は認めず、安定した加温がえられた。初期の12例はbed上仰臥位にて、後半18例は車椅子上坐位にて加温を行った。全例とも温熱治療後のCTでは、加温による壊死を示す低吸収域を認めた。治療後のCE lesionの変化を検討してみると、CRが8例、PRが10例、STが9例、PDが3例であった。また、PRの10例のうち5例で80%以上のCE lesionが低吸収域を示すCRhであり、STの9例のうち5例で50%以上のCE lesionが低吸収化を示すPRhであった。奏功率(CR+PR)は60%であった。
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